2021/05/16

[Japanese] exA-Arcadia基板でのブラウン管出力向け変換遅延と録画

ゲームセンター運営のオペレータや個人の方がexA-Arcadia(以下EXA)基板を稼働する時にブラウン管キャビネットで稼働させたい、或いはブラストなどのブラウン管しか持たなくて困ってる人はいると思います。しかしこの基板、上の公式画像と下記の通りGPUにVGA端子がついてないので使えません。

GPU側:HDMI, DVI-D
マザー側:VGA (出力なしで使用不可)

上記の通り、DVI端子もDVI-Dなのでアナログ信号は出力されません。マザ側のVGA端子はゲームで使用前提の物ではありませんので試しても何も映りません。となるとブラウン管で映す為には変換が必要です。しかしここで注意が必要です。

EXA基板は普通のPCですので液晶の640x480とは別にCRTの31KHz表示モードがありますが(解像度は同一です)、240p/480iの15KHzは対応していません。31KHz対応モニターならHDMI-to-VGAやDVI-to-VGA(アクティブタイプ)で変換すると映せます。ここまでは簡単ですが、画面が遅延はないのか気になる方もいるかと思います。

この記事は簡易的な方法ですが、同一液晶モニター2台を使用して確認したHDMI-VGAの遅延時間を確認と、EXA基板をHDMI-VGA変換でブラウン管に表示しながら録画はデジタルのまま録画した事例の記録です。変換遅延ですが、結果を先にいうと「変換遅延ありません」といって問題ないでしょう。はっきりとした結果は2ch オシロスコープが必要で、同期信号を直接測ることで遅延がわかりますが、持ってないのでそこまではテストできませんでした。録画も変換前のデジタル信号で撮れて劣化もなくチョーきれいだねーでした。31KHz結果なので15KHzだと勘違いしないように。


1.用意したもの
モニター:EIZO FlexScan EV2336W 2台 (DVI-D, VGA, DP)
PC:AMD Ryzen 3 3100 / NVIDIA Geforce GT710 / 16GB
分配器:Micomsoft ROOTY HD SP2、ATEN VS-162
基板:exA-Arcadia 1台
キャビネット:セガ ブラストシティ 1台
ケーブル:DVI 3m, DVI 1m, HDMI 2m
変換:
Lenovo LT8511 HDMI-VGA
        ごく普通のアクティブタイプ変換器です。KVCらぼさんが紹介している
   DVI-D-to-VGAもありますが、どちらでも構いません。

2. 実験
変換遅延を測定する前にまずは分配器を通した同種モニターの表示遅延の差がないかを確認しました。ここまで確認する必要はないと思いますが、一応リファレンスのためです。その後、左右モニターの中で右の方はHDMIーVGAを使って変換します。

変換前の同条件比較
モニターオプション:スケーリングなし、その他オプション全て同一
PC出力:DVI
分配器:ATEN VS-162
測定方法:スマホの960fps撮影モードでなるべく細かく撮ってフレーム切り取り
結果:関係はないかもしれませんが、極力ADボード側からスケーリングの遅延時間を避けて純粋結果のみ見たかったのでスケーリングなしにしています。720pにした理由は640x480が59.9fpsで60.0fpsにピッタリするのが720pだからでした。下の桁がどうなっているかは知りません。気持ちの問題です。簡易的な方法なのでよしとしましょう。




右のモニターが1フレーム未満で少し遅れていた時がありました。windowsのms単位時間表示はいい加減なものなのでわかりませんが、大体10ms以下でしょうね。動画でも確認しましたが稀に撮られた結果らしく、殆どの場合は差が見えませんでした。深く調べようとすると切りがありませんので、とりあえずこの程度は左右で差があるかもしれないが、考えなくていいとしておきます。


変換後実際の比較(左:DVI、右:DVIーVGA)
下の写真のようにスマホの高速撮影モードでは遅延を確認することはできませんでした。この程度なら大丈夫でしょう。


3.基板でのCRT表示モードで映す
ブラウン管向けのオプションがDIPスイッチ2で用意されているのでONにしておきます。そうしないとブラウン管に映らない場合がありますのでマニュアルで書いている通り必ずONにしておきましょう。下の写真はDIP2をONにして、HDMIーVGA変換で表示した画面です。左のモニターにDVIで直結したのも一緒に写真撮って比較しましたが、上で比較したように当然差は見えませんでした。



4.ブラストに入れて録画装置もつける。
ここでの課題はブラウン管は変換して表示するのは遅延もなく、問題なかったのですが、録画も同時にしたい場合は変換前のデジタルと変換後のアナログ信号のどちらを取るべきかです。アナログだとケーブルの長さで段々画像がノイズでぼやけてきますので、できれば変換前のデジタルで撮りたかったのです。しかし、中華版の録画機がCRTモードのデジタル信号を受け付けるか心配だったのですが、音声を予めHDMIの中に合成した後で入力してみたら問題なく録画できていました。これて劣化せずに撮れるし一安心。写真はCLUB EXAでブラストシティに入れて31KHz CRTモードで稼働した状態です。ヘッドフォンアンプの下にある中華の録画機から撮りました。まりあちゃん綺麗ですね。



5.終わりに、おまけに15KHz変換の情報
何とか苦労はせず思った通りに結果が出たので楽でした。JAMMAみたいな変数が多すぎるのは色々面倒なことまでやる必要があるのでPC基板はこういう観点で好きです。これで液晶のmsオーダーの表示遅延より桁の違いnsオーダーの遅延で遊べる環境ができました。ワッショイワッショイ

一方で、ブラウン管でしたいと思っている方の中で31KHz非対応モニター持ちの方がいらっしゃると思いますが、私が確認している事例を見る限り、31KHz→15KHz変換遅延は最低8msほどは出るのかベスト結果でした。興味がある方はGBS-8200のgbscontrol改造で調べてみてください。改造するのに半田付けも必要ですし手間かかりますが、これが今知られているの方法の中でベストです。使い勝手のいい業務用コンバータやGBS-8100など安い中華版での無遅延構成はまだ見つかっておりません。EXAで15KHz出力は対応していませんし、変換せざるを得ないので素直にマルチシンクモニターに変えるか、遅延ありのままダウンスキャンコンバータを導入するしかないと思います。